No.10「要素還元型と生命型の併存」

今回は、できあがった論文を掲載する。タイトルは「新たな組織論?要素還元型と生命型の併存?」である。この論文の末尾では、つぎのように述べている。

「我々は、今後、これまで要素還元型の研究で十分カバーされてこなかった組織の課題について、研究努力を集中すべきだと考えている。これは要素還元型をやめるべきだという意味ではなく、今までの研究の視点の中に見落とされてきた部分があったということである。その見落とされてきた部分についても、これからはもっと見ていかなければいけない。
本稿で議論してきた通り、要素還元型と対比して、生命型には「自己と他とその関係を認識し手を下す」という本質的な特徴がある。この部分には特に研究を集中させる価値があるだろう。この部分は要素還元型の装置としては形成できないからである。また、組織に要素還元型と生命型が併存することで組織がフラクタルになっているならば、それをいかに組織のマネジメントに活用出来るかといった研究の展開にもなるであろう。
従来の複雑系の研究では、あるものがフラクタル状になっていることを見出しても、それがそうなっているという認識の提示で議論が止まっていた。実践のための研究をするのであれば、フラクタルになっていることを、いかにしてマネジメントや社会にとって役に立つ道具にしていくかが研究されねばならない。組織研究が向かうべき方向は、組織は要素還元型と生命型が併存し、組織のフラクタル性が存在するということの解明であり、その知識を道具として使うための研究をしていくことである。」

「新たな組織論 ―要素還元型と生命型の併存― 」