グローバル化が急速に進展する今の時代にあって、どのようなリーダーシップが求められるかにつき、急いで講義を行うことになった。中心に据えた考え方は「強いリーダーシップの盲点」である。一般には強いリーダーシップは必要だし、効果的であると考えられている。しかしグローバルという条件の高まった組織、つまり構成メンバーの国籍や文化の多様度が高く、また彼等の専門能力や雇用形態も多様であるとき、はたして強いリーダーシップは一律に効果的かどうか、きわめて疑問であることを説こうとした。
なぜなら多様であればある程、リーダーを含めメンバー全員の相互協力と効果的なチームワークが求められるからである。強いリーダーシップはえてしてリーダーの独り相撲と空回りを生む。リーダーが強く出ると、メンバーはそのリーダーのもとで仕事することの損得勘定をする。得とみれば協力する。損とみれば距離を置く。実は強いリーダーシップは後者を引き起こしやすいのである。いったんこれが生じると悪循環構造に入る。ふがいないメンバーに向けてリーダーはますます強いリーダーシップをとる。そしてメンバーはますます距離を置く。
この概念構造で講義を作るために、基礎文献としてベイトソンの著作に立ち返ることをした。「精神神の生態学」と「精神と自然」 である。そしてこれらをもとに展開されたワツラヴィックの人間コミュニケーションの語用論」である。20年程前に読んであったこれらの書物に立ち返ることで、現代のグローバル状況における強いリーダーシップの盲点とその悪循環構造を解くことができた。ベイトソン等の研究が言っている complimentary と symmetry がこの問題構造の核にある。これを「支配と服従」「対立と退出(冬眠)」という日本語で説明した。講義を聴いてくれた多くの実務家にとって深く刺さったようであった。
No.15 「complimentary と symmetry 」
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