No.16 「純粋アルコール換算量で1トン」

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大学人の特権かもしれないが、世間に比べてかない長い夏休みの最中にある。仕事をせずに休んでいるわけではないが、大学そのものが夏休み期間なので、キャンパスにいても学生の数が少なく、研究室は静かである。そのようなことで、出勤前の朝の時間帯にNHKの連続テレビドラマを見る機会が多い。ゲゲゲの鬼太郎を書いた水木しげる氏をモデルにしたドラマだが、氏の制作現場は超多忙。たまたま別のテレビ番組を見て、ギャグ漫画で一時代を築いた赤塚不二夫氏が、じつはとても内気な性格であったことも知った。アルコールの力を借りないと人と楽しい雰囲気で話しが出来なかったそうだ。人を笑わせるのが大好きで、それを仕事にしていたにもかかわらず、である。

このテレビを見て、医学部の内科教授から教えてもらった「純粋アルコール換算量で1トンの原理」を思い出した。人間の肝臓は、長年飲んだお酒の積算量を純粋アルコールに換算して1トン前後処理すると、肝硬変になる。もちろん個人差があるので、その手前で、胃ガンや食道ガンにもなる。肝硬変になると肝臓ガンに進行する。

純粋アルコール換算量という意味は次のような計算をすると分かる。話しを単純にするために1ミリリットルを1グラムと考える。まず100%アルコールを、日本酒を例にとって、お酒の量ではかってみよう。1トン(1,000,000グラム、つまり1,000,000ミリリットル)の純粋アルコールは、これを日本酒のアルコール度数15%(0.15)で割って、6,666,666ミリリットルの日本酒になる。これを20歳から70歳まで長年飲んだとして、1年間あたりの飲んだ量は、50年で割って、133,333ミリリットル。さらに1日あたりにするために365日で割ると、約365ミリリットル。つまり毎日2合の日本酒を50年間飲んで70歳になると、純粋アルコール換算量で1トン飲んだことになる。そして肝硬変である。

この1トンの原理は積算量を言っているので、毎日飲もうが、ときどき深酒をして他の日は少なく飲んでも、関係ないところが恐ろしい。

赤塚不二夫氏は食道がんであったそうだが、手術した退院の後もお酒を手放さなかった。それほどお酒が好きだったとも言えるし、なしでは生きられなかったとも言える。最後はお酒で亡くなったとも言えるが、家族と幸せな日々を少しでも多くしようとは思わなかった(思えなかった?)のであろう。