No.31 「多くの分野でケースが作成されている」

すでに経営教育以外のさまざまな分野でケースが作成され、ケースメソッド授業が行われるようになっていることは、すでに何回かこの項に書いている。今年は東日本大震災があり危機管理や緊急時についてのケースが作られ、とくにその場面での医療、福祉、介護のケースが作られている。また関係する人々が集まってケースのデモ授業を行う研究会も開かれた。

これらのケースはすべて実際の場面を描いていることが、そのケースを使う討論授業に強みを与える。緊急場面に自ら遭遇しての経験から学ぶことは非現実的だ。ケースメソッドの教室でこそ経験から学ぶことができる。そのために今回の出来事をケースとして残す意義がある。

一方で、組織行動学の研究者として思うのだが、ビジネススクールの組織行動学の科目で行うケースメソッド授業では、ケースを討議して一種の疑似体験から学ばせるとしても、必ずその根底に理論を持っている。理論を形成するのは組織行動学の地道な研究の積み重ねである。

今回話題にしている緊急時の医療、福祉、介護のケースはケース情報そのものは極めて貴重で価値があるとしても、そのケース調査の根底を支える理論はまだ道半ばとのことであった今後の彼等の研究活動がかならずやそれを豊かにすると期待している。