すでに経営教育以外のさまざまな分野でケースが作成され、ケースメソッド授業が行われるようになっていることは、
これらのケースはすべて実際の場面を描いていることが、
一方で、組織行動学の研究者として思うのだが、
今回話題にしている緊急時の医療、福祉、
慶應ビジネス・スクールがケースメソッドによる経営教育を開始して40年以上経った。我が国においてケースメソッドを全学的に活用する唯一の高等教育機関である。もともとはハーバード・ビジネススクールで開発された討議型の受講生中心の授業方法である。慶應ビジネス・スクールはそれを導入し、40年間にわたり活用することで、アメリカ生まれの教育方法を日本的で慶應型のケースメソッドに進化させた。その過程を振り返りつつ、ケースメソッドの基礎的なポイントを整理し、慶應型ケースメソッドを説明していく。
すでに経営教育以外のさまざまな分野でケースが作成され、ケースメソッド授業が行われるようになっていることは、
これらのケースはすべて実際の場面を描いていることが、
一方で、組織行動学の研究者として思うのだが、
今回話題にしている緊急時の医療、福祉、
KBSの在学生に提供していたケースメソッド教授法科目について一般の方が受講できるよう「ケースメソッド教授法セミナー」
タイトルは「教室を白熱させるために教師にできること」。
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2010年10月半ばのある日のこと、
慶應義塾大学大学院経営管理研究科
教授 梶山 暁夫 様
突然のメールで失礼いたします。
私は、NHKでテレビ番組を制作しております野田と申します。
テレビの取材の相談があり、メール差し上げました。
この度、NHKの教育で以前放送しておりましたハーバード大学
サンデル教授の「白熱教室」
そこで、リサーチを進めたところ「ケースメソッド」
梶山先生のHPにたどり着きました。
急なお話で大変恐縮ですが、取材のご相談をさせて頂きたく
企画書をまとめましたのでご高覧頂ければ幸いです。
それでは、またこちらからメール差し上げますので、
何卒よろしくお願い申し上げます。
ディレクター 野田 正史
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上に紹介した冒頭部分はAケースである。それにつづいてB、C、
ハーバードのケースメソッドと慶應のケースメソッドをリーダーシップとの関係づけで考察した文章を書いた。ここに掲載しておく。
「“縦のリーダーシップ”と“横のリーダーシップ”を同時訓練する慶應型ケースメソッド」
世界規模の金融危機、経営統合による業界再編、ビジネスモデルイノベーションによる産業構造変化、自然災害、そして原発事故。経営環境は常に非連続に変化する。ビジネスリーダーに突きつけられる経営課題はますます高度化、複雑化している。これに立ち向かうビジネスリーダーは二つのリーダーシップを発揮しなければならない。
第一は“縦のリーダーシップ”。組織の上から下へ向かって発揮するリーダーシップだ。不確実な環境で将来を見通し、ビジョンを持って目標を定め、膨大な情報から本質を見抜いて戦略意思決定を行う。組織を先導するのは縦のリーダーシップである。
第二は“横のリーダーシップ”。理念を共有して組織の求心力を維持し、人々の連携から創発を生む。横のリーダーシップは、このための場をデザインすることであり、人々の持つ能力を最大限に重ねて拡大することだ。
慶應型ケースメソッドには、これら二つのリーダーシップを同時訓練する力がある。
ケースメソッドの教室は、トップの視点で経営課題を議論し、革新的な意思決定を提示する意見であふれる。多数のケースは非連続に変化する経営環境を提供するのであり、それらを議論し意思決定することこそトップ経営者の視点によるリーダーシップの訓練である。ハーバード・ビジネススクールのケースメソッドは“縦のリーダーシップ”ために生まれた。
ハーバードからケースメソッドを導入した慶應ビジネススクールの教室は、“縦のリーダーシップ”に加え、“横のリーダーシップ”も訓練する。日本がベースのKBSケースを議論することは、人と人が繋がるための必須条件を付与する。その教室は過度な個人主義に陥ることなく、他者の発言を尊重しながら議論する。上下左右に目を配り、全体の中の自分の位置づけを明らかにし、果たすべき役割を見出し確立する力を養う。
ビジネスリーダーを目指す人々が、KBSのケースメソッド教室で“縦のリーダーシップ”と“横のリーダーシップ”の訓練を受け、厳しさ倍加する経営環境に果敢に乗り出し、社会に貢献していくことを願ってやまない。
ケースメソッドは、ハーバードでもそうであるし、慶應でもそうであるように、ビジネススクールという学校での教育方法としてやってきたが、ついにその外に出る時代が到来した。
養護教諭(保健室の先生)の養成課程を担当されている先生方がケースメソッドを使うための本を書かれた。「教師のためのケースメソッド教育」(岡田 加奈子(著)、竹鼻ゆかり(著)、竹内伸一(編)、少年写真新聞社)この本は、タイトルにある通り、教師のためのものである。ビジネススクール以外の広く多くの先生方がケースメソッドを使うに必要な知識とスキルと説いている。
ケースメソッドを今より以上に広く活用されるには、授業方法(平たくいえばケースのクラスでの討議の進行)について、事前に標準的なシナリオを作り、それにそって授業をすれば、どの講師もある水準までの授業成果を形成できるようにすることである、とよく話題にする。これをケースメソッドの標準化、あるいは構造化と呼んでいる。
実際のところ、標準化は二律背反を含んでいる。基本的にケースメソッドの教室では受講生の自律的発言を尊重して授業を進める。となると事前に授業進行のシナリオを作るのはそもそも無理となる。この二律背反問題にどう答えるかで、ケースメソッドの標準化にどうアプローチするかが決まる。
数年前に、研究室のテーマとしてこれを扱ったことがある。しかしその時はよい成果が上がらなかった。当時の研究作業では授業の進行(ステップの踏み方)を標準化することに焦点を当てたのだが、いわゆる起承転結を標準化しても、受講生側にそれを無視するような発言があると、逆に講師は路線どおりに授業を押さえにかかる。これだと結局、授業進行は標準化できても、授業内容の一定水準の維持という標準化は達成されない。
その後、この標準化問題は研究室で扱うことなく時がたってしまった。最近、医療や福祉などの分野でケースメソッドを導入する傾向が高まり、同時に、再度、この標準化問題が私の頭の中で大きくなりつつある。この医療や福祉の領域では、受講の事前段階としてすでに「専門職資格」を持った方々なので、この部分の活用がケースメソッドの標準化を促進できる要因になるのではないかと推測している。ビジネスではこれと同水準の共通する専門資格はないように思う。
あるシンポジウムが企画され、私がやってきたケースメソッド授業の四半世紀について話すことになった。どのようなポイントで話すかを考えて、できることならやりたくないこの授業、という言葉が浮かんが。これを講演のタイトルにするという意味ではないが、私を含めてケースメソッドの授業をする講師は100%心から喜んで討議形式授業をしてはいない、はずだ、という想いがある。その心から喜べない気持ちはどこから来るのか、をハーバードから帰国して今日までの年数を振り返り、たどろうと考えた。
早い話、ケースメソッド授業は講師にとって(もちろん受講生にとっても)負担を強いるのであり、エネルギー消費も、気力消費もおおきい。それだけの見返り、教育する者のよろこびはあるし、当然、大きい。それでも、できることならやりたくないこの授業、という言葉が出る。
シンポジウムで話す原稿をそろそろ準備しないとならないので、今日のこの項の書き込みはここで止める。思わせぶりな書き方をお許し願いたい。
ケースメソッドの学習原理について、十分な科学研究がなされいないことはすでに書いた。討議をすることはどのような原理でどのような学びを形成するのか。経験的には分かるのだが、それをきちんと理論的に説明できる枠組みづくりが研究として遅れている。
しかたがないので、時々に応じて、このようなことであろうと推測して講演することがある。この項で、つい先週にある学会で講演したパワーポイントファイルを添付することで、今現在の私の考え方をご紹介する。動的に進行する世界あって行為を繰り出す時に、どのような因果律をどのような視野で形成するか、このことの訓練がケースメソッドで可能であろう、というのが趣旨である。
慶應ビジネススクールは、「ケースメソッド教授法」を学外向けのセミナーとして開講します。
本セミナーの特徴は、ケースメソッドで教える:
多くのケースメソッドに興味を持たれている方々のご参加をお待ち
NHKの「白熱教室JAPAN」で放送した4回の授業の最後は組織の緊急対応がテーマであった。ケースは地下鉄サリン事件当時の聖路加国際病院についてである。放送直後に何人かの方から感想メールをいただいた。4回のうちこの授業が一番参考になった、というものであった。(もちろん他の回が一番よかったという感想を下さった方もいる。)
そして間もなく東北関東大震災が起きた。地震当日、私は三田キャンパスにいた。電車がすべて止まり、道路も完全に渋滞し、帰宅のすべがなかったので、早い段階で篭城を決めた。事務室の職員の方が私の顔を見て、「聖路加の授業の時のようにみなさん緊急対応ができるといいですね」と声をかけてくれた。大学の研究室や事務室でどうやって夜を明かすか、必要な水や食料は近くのコンビニでまだ手に入るか、などを雑談していたが、「あの授業で大事なポイントは何でしたか」と話を振られて、「ハブ人間の活躍です」と答えた。
ならば、自分がハブになって動かねば、と大急ぎで関係部署と連絡をとった。まずは夜10時に自動的に切れる暖房について、自分たちが居残る部屋を制御室に知らせ、切らないよう設定してもらった。あとはソファーを探し、外に出てコンビニの様子やレストランの様子を見て、事務室の人と共有した。ささやかだが拍手をしてもらった。それにしても大きな川の流れのように人々が報道を歩いて駅に向かうか、自宅に向かうかの様は異様であった。
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